更新日2006年3月29日(文章一部追加)

ウサギの血液型ってあるの?

思いつきでテーマを決めるこのコーナー。今回は「うさぎの血液型」について。
(参考文献:裳華房 比較血液型学 1985)

●そもそも血液型って何なの?
ヒトの場合の血液型−A型、B型、AB型、O型とよく話題に出てきますね
性格判断だとか、占いなんかでもよく使われます。
ところで、この血液型の分類法そのものについてはあまり語られませんね

ひとことで血液型といっても、ABO方式は医学的にはそのうちのひとつにすぎません。
少し調べてみただけでも、様々な血液型があることが分かります。
主要なものでは、ABO方式、MNSs方式、P方式、Rh方式、Kidd方式、Duffy方式、Kell-Cellano方式、Lutheran方式、Diego方式、Xg方式...うむむ、キリがありませんね

よく血液型として用いられるABO方式は、人類最初の血液型として発見されたものです。(Landsteiner,K 1901)
この方式は赤血球の型を分類したもので、表現型はA、B、O、ABの4種類。
A、B、Oの3対立遺伝子により、各遺伝子はメンデルの法則に従い遺伝する..というものです
..学校の生物の授業で習ったヤツでゴザイマスね

●ではウサギの場合は?
さてここから本題です。人間の場合は分かりました。ではウサギの場合はどうなのでしょうか
雑誌や某番組などで、A型、B型の2タイプだけだとの話が出ていたようですが..
これはおそらく「人間」の血液型判定法をウサギに当てはめただけではないかと思われます
(この情報の出典元が分からないので、あくまでも推測ですが)
では本当の意味での血液型、「ウサギ」の場合での血液型はどうなのでしょうか?

カイウサギは実験動物としてよく用いられたことより、血液型でも古くから研究されてきました。
いろんな研究者によって様々な分類がなされ、やはり人間同様沢山の血液型があるのです。
しかも人間の場合と名称が異なります
血球型では、H1・H2システム、Kシステム、G・gシステム、K1・K2システム、Hgシステムがあるようです。
つまり、表題の「ウサギの血液型はあるのか」に対しての答えは、もちろんあるということになります。(しかも2タイプ以上) ただし、当然ですが人間とシステムが異なるので、人間のようなABO方式ではありません。

●ウサギの血液型、一例を見てみると..
ウサギの血液型のH方式を例に見てみたいと思います。
(この方式を選んだ理由は、人間のABO方式を提唱した学者Landsteiner博士(1929)が唱えている方式だからです)
ABO同様、赤血球の型を分類したもので、表現型はH1型、H2型、H1H2型、O型に分類されます。
それぞれの血液型の割合は、日本の北浜博士が1954年に行ったデータによると

 調査頭数120頭 H1型:9.2%  H2型:43.3%  H1・H2型:44.1%  O型:3.3%
 (比較血液型学 p.271 表3・4・1より)

となっています。

他の方式の分け方も色々有り、同一の血液型でも研究者によって名称を変えているので
統一した血液型..という呼び名は、まだ確立されていませんね。

●動物医療現場では?
さて、ウサギの血液型について調べてみた訳ですが、動物医療の現場ではどの分類法を用いているのでしょうか?
ここまで色々な方式が提唱されているのなら、かなり混乱しているのではと思ったのですが..

先日、我が家のウサギの健康診断時にかかりつけの獣医師さんに尋ねて見たところ、
ウサギに限らず、他の動物でも(犬、猫など)血液型の分類、判定は行っていないとのこと。
じゃあ、手術時にどうするのかといえば、ウサギの場合は輸血を行った事がないので分からないが..と前置きの上で、
血液を提供してくれる生体と血液成分の適合性を調べ、問題がなければ輸血するという方式(クロスマッチ)を行うとの返事をいただきました。
おそらく、ウサギで輸血が必要な場合も、同様にクロスマッチを行って輸血を行うそうです。
ペットの血液型は獣医学的にはよく分かっておらず、実験動物としてのデータが医学部の研究室では調べられているだろうが..とのこと
輸血はよほどの緊急事態の時しか行わないようです。

確かに、今回調べたウサギの血液型のデータは、実験動物としてのデータです。
どうやらこのデータは獣医学には利用されていないようです

●まとめ
軽い気持ちで調べてみた、ウサギの血液型についてですが
ウサギを含めペットの獣医療環境がまだ進んでいないこと、でもデータ的には詳細にまとめられている面があることが分かりました
ペットとしても、そして実験動物としても長い経緯をもつウサギ
データがあっても現場では使用されていないという現実
もし、ウサギが輸血を必要とする緊急事態となった時に、直には対応できないかもしれないという現実があるのです

[Top]